非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「いやいや、そうでもないですよ。この島に診療所は一つです。もう、島の人たち全員が自分の家族みたいなものだから、何かあれば教えて欲しいくらいなんですよ」

 そう言いながら豪快に笑い飛ばす宮脇を見て、一毬はあの診療所に人が集まる理由がわかった気がした。


 ――湊斗さんと同じだ。宮脇先生も自分の想いを大切に、仕事に向き合っている人なんだ。


 一毬は楽しそうに会話する湊斗と宮脇が、とても輝いているように見えた。


 診療所に到着すると、早速湊斗は機器の設置作業を始める。

「一毬はゆっくりしてていいぞ」

 腕まくりをして、パソコンを操作しながら顔を覗かせた湊斗に、一毬は小さくうなずいた。


 ――なんだか、湊斗さん楽しそう。


 湊斗の言葉に甘えて、一毬は窓際のソファで静かに夜の海を眺めていた。

 やはり妊娠しているからか、少し疲れやすくなっている気がする。

 急に眠気に襲われ、うつらうつらしだした一毬は、入り口の扉を激しく叩く音で目を覚ました。
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