非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「藤堂さん、設置したばかりで申し訳ないんですが、検査機器は使えますか?」

「もちろんです。すぐにパソコンもセットアップします」

 二人は落ち着いた様子で沖村さんを診察室のベッドに寝かせると、すぐに検査に取りかかった。

 一毬は司を一旦ソファに座らせようとしたが、司が脇目も振らずに二人の様子に魅入っていたので、そのまま見守ることにした。


 宮脇は検体を採取すると、湊斗の説明に従って検査機器に設置する。

 程なくしてパソコンの画面には、解析結果が順に表示されていった。

 湊斗とともに画面を覗き込んでいた宮脇は、大きくうなずくと、診察室の入り口でじっと佇んでいる司を振り返る。


「これだったら点滴の処置が有効だな。司、もう安心していいぞ。じいちゃんの熱の原因はわかったから」

「本当に?!」

 宮脇の声を聞いた途端、司はほっとしたのか、力が抜けたようにへなへなと床に座り込んだ。

「司くん! 大丈夫?!」

 駆け寄った一毬は、司の顔を覗き込んでドキッとする。

 司は安心した顔色を急に変え、大粒の涙を流し出したのだ。
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