非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~

ベッドでドキドキ

事務経験が初めての一毬にとって、オフィスでの仕事はとても新鮮でやりがいがあった。
今までひたすら手を動かしドーナツを作っていた自分が、パソコンとにらめっこしているなんて、少し前までは想像もできなかったことだ。

楠木や他の先輩社員とも、今のところ関係性はうまくいっている。
ただ一毬が湊斗と一緒の部屋に住んでいることは、決して知られてはならない事実だ。

あれから湊斗は、早く帰って来る日もあれば、一毬が眠ってから帰ってくる日もあり、生活リズムはまちまちだった。
今は新製品の研究成果をネット上で配信するプレスリリースと、それに伴った記者向けのプレス発表会も予定されているそうで、その準備で特に忙しいらしい。
実際の製品化に向けた動きが始まれば、さらに多忙になるそうだ。

湊斗はマンションに早く帰ってきた日も、夜遅くまでパソコンに向かっている事が多く、大抵一毬は先にベッドに入る。
そしてドキドキするのも束の間、いつも朝まで爆睡してしまうのだ。
< 46 / 268 >

この作品をシェア

pagetop