スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
迎えのハイヤーの到着を待つ間、暇を持て余した瀧澤と光莉はホテル内にある庭園で時間を潰すことにした。
夕暮れが早く訪れるようになった秋の始まりは夜風に湿り気の帯びた匂いが混じる。酔った身体には心地よい気温だった。
「パーティーって色々大変なんですね。テニスより疲れました……」
「私はテニスの方が疲れるけどな」
「あはは!」
二人はベンチに深く腰掛け、互いの疲労を労い合った。
緊張と酔いでもう身体はクタクタ。特に高いヒールを履き続けた脚はパンパンで、早く窮屈な靴から解放してやりたい。
「そうだ。まだ上海土産を渡してなかったな」
瀧澤は今思い出したように呟くと、ポケットから小さな紙袋を取り出した。
紙袋の中には、一本のルージュが入っていた。
「うわあ……綺麗なルージュ……!」
「君に似合いそうな色だったから、つい買ってしまった」
「本当に頂いていいんですか?」
「ああ」
「ありがとうございます!」
瀧澤からお土産をもらい、光莉は感激していた。
ローズピンクのルージュは光莉の幼さの残る顔立ちにもよく合いそうだった。