スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
翌朝、光莉は頭を撫でられる心地よさでゆっくりと目を覚ました。
「おはよう」
「おはよう……ございます」
先に起きた瀧澤はシャワーを浴びた後なのか洗い立てのシャンプーの匂いがした。
こっそり帰るつもりだったのに、つい寝こけてしまった。体力には自信があったのに、運動とは別の意味で疲れ果てている。身体にはまだ甘い痺れが残っていた。
「すっ、すみません!すぐに帰ります!」
「帰るのは今でなくていいだろう?休日の朝だ。ゆっくりしていくといい」
瀧澤がリビングの向こう側に消え扉が閉められると、光莉はベッドルームを見回した。
ベッドの上には一人分の枕。半分開いたままのクローゼットの中には、男性用のスーツとネクタイのみ。
室内のどこにも女性の気配はなく、ホッと胸を撫で下ろす。
身体の関係を迫った後で今更だが、瀧澤が妻帯者だったり、恋人がいる可能性も十分あり得た。
瀧澤が女性に迫られたらすぐに飛びつくような好色な男性とは思わないが、独身恋人なしで本当に良かった。
(本当に……この猪突猛進な性格はいつかどうにかしないと)
考えなしの行き当たりばったりでは、いつかしっぺ返しを喰らいそう。
農家が工夫を凝らした柵や罠を突破するというし、本物の猪の方がほうがまだ賢いんじゃなかろうか。
アホアホな自分の性格を反省していると、瀧澤がトレーを持ってベッドルームに戻ってきた。