スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~


 斗真が指定したのは、大学生の時によく仲間内で使っていたコーヒーショップだ。学生は一杯五百円、おかわり自由ということもあり、試験期間中など何時間も入り浸っていた。
 馴染みのコーヒーショップに入店し、斗真が窓際の席に座っているのを発見した光莉の顔が引きつっていく。
 
「どうしたの、その顔!?」

 斗真の顔には大きな絆創膏とガーゼがあてられていた。顔だけではない、首元や、足首、見えるところだけで何か所も痣がありぎょっとする。

琴葉(ことは)にやられた」
「琴葉って……結婚したばかりの奥さんのこと?」
「あいつ、式が終わった途端に豹変したんだ」
 
 光莉は椅子に腰掛けると、斗真の話に耳を傾けた。
 斗真の話によると、それまで穏やかな笑顔を絶やさなかった斗真の妻、琴葉は結婚式が終わった次の日から人が変わったようにヒステリックになったらしい。
 ものを投げたりするのはほんの序の口で、馬乗りになって殴りかかってくることもしばしば。最近ではフライパンで殴打を繰り返すようになったという。
 苛烈なその様子は単なるヒステリーでは済まされない。
 あのいかにも非力そうでゆるふわの奥さんが暴力を振るうなんて、にわかには信じがたい。
 だからこそ斗真は直接会うことを求めたのだろう。

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