スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「倉庫にある中古の椅子とテーブルを直すって最初に聞いた時は確かに驚いたけどね~。まあ久志くんがやるって言うからには勝算があるってことでしょ?任されたこっちは結構、大変だけどね」
「私の……せいです……」

 比呂人の仕事を増やしたのも、同僚達の大事な時間を奪うことなったのも、資料の確認を怠った光莉のせいだ。それなのに瀧澤と遊佐を含めた全員が全員、光莉のミスを責めようとしない。それが余計に辛い。
 比呂人は光莉の懺悔を黙って聞いてくれた。光莉が話し終えると、台所に行きタオルで包んだ缶コーヒーを二本持って戻ってくる。

「ねえ、光莉ちゃん。これ、久志くんに渡してきてよ。多分、外にいると思うからさ。こっちは光莉ちゃんの分ね」

 湯煎されていたのか、缶コーヒーはじわりと温かかった。
 缶コーヒーを持って外に出ると、比呂人に従うがまま瀧澤の姿を探す。

(どこにいるんだろう……?)

 明かりのついていた倉庫も覗いてみたが、ここにもいなかった。あと探していないのは、アトリエから少し離れた山小屋だけだ。
 スマホのライトを頼りにざっざと砂を踏みながら山道を歩いていく。山小屋に辿り着くと、仄暗い闇の中に瀧澤が佇んでいた。

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