スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

 食事が終わると、お決まりの「あとは若い者同士で」という合図で征也と二人きりで庭園に放り出された。
 瀧澤にローズルージュをもらった思い出の庭園を今は征也と散策してする。滑稽だ。

「本当に困るよな。こういうの」

 征也はコートに立っている時と同様に軽やかなステップで芝生を踏みしめた。征也が歩いた後だけ芝生の青臭い匂いが立ち込める。
 口では困ると言っているが、ちっとも困ってなさそう。

「もうちょっと肩の力を抜いて楽にしたら?」
「はい……」
「お見合い相手は本当は瀧澤さんがよかったんじゃないの?親父達も鈍いよな」

 図星を突かれ、光莉はそっと目を伏せた。

「もういいんです。私は瀧澤専務には相応しくないんです……」

 所詮、光莉にとって瀧澤は高嶺の花だったのだ。温室の薔薇が物珍しいたんぽぽに、少しの間興味を引かれただけのこと。
 中野の脅しがなくてもいずれは同じ決断をしたと思う。

(これ以上、足を引っ張りたくない……)

 瀧澤はいずれTAKIZAWAの看板を背負って立つ存在になる。醜聞で彼の出世を邪魔するようなことになったら、自分で自分を許せなくなる。

「どうする?この話はなかったことにする?光莉ちゃんからは断りづらいでしょ?」
「よろしいんですか?」

 あからさまに嬉しそうな声色なのが良くなかったのか。征也はうーんと唸ると光莉を品定めするように舐めるように視線を上下させた。
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