出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
龍は少し息を吐き出す。呆れられたのかと胸が痛くなるが、そうではないとその表情を見て感じた。
「怖いか?」
真剣な表情をしたまま、龍は小さく尋ねる。それを聞いて、実乃莉は心の中で復唱した。
(怖い……。そうだ……)
褒められることが、認められることが怖いだなんて、他の人には理解できない感情なのかも知れない。けれど、未経験のことに遭遇し、実乃莉にはそれを恐れている気がした。
ようやく自分の中で折り合いを付けると実乃莉は頷いてみせた。
「確かに今の実乃莉にとっちゃ、褒められることさえ初めてだもんな。不安になる気持ちもわかる」
「龍さんでも?」
信じられないと驚く実乃莉に、龍は口角を上げそれに答えた。
「もちろん。俺はよく、そつなくなんでもこなして苦労もしてないと思われることが多い。だが、人並みに悩みもするし苦労もしてきた。今だって、社員を路頭に迷わせないよう必死だ。これでいいのか不安になることだってある。……意外だろ?」
最後は実乃莉の表情を見てそう言ったのだろう。実乃莉は胸の内を、ズバリと指摘されてしまう。
「……はい。でも龍さんも同じなんだって知って、気が楽になりました。これからは、もっと素直に喜びたいって……そう思います」
「そうだな。少なくとも俺の前では、もっと喜怒哀楽を出していいぞ。練習台として。その代わり、時々俺の弱音も聞いてくれ。周りには言えなくてな。深雪にすら言ったことないが……。実乃莉になら言えそうな気が……するんだ」
最後は視線を外し、自分にいい聞かせるようにゆっくりと龍は口にする。
(それは……特別、ってこと……?)
ただの勘違いと思うには意味深な内容に実乃莉は鼓動を高まらせる。けれどそれはただの話し相手としてだ。同じ政治家を親に持つ子ども同士だから。
そう思うがそれでも勘違いしてしまいそうになる。
龍は目の前で、恥ずかしそうに口元を手で押さえると、ほんのりと頰を朱に染めて顔を逸らしていた。
「怖いか?」
真剣な表情をしたまま、龍は小さく尋ねる。それを聞いて、実乃莉は心の中で復唱した。
(怖い……。そうだ……)
褒められることが、認められることが怖いだなんて、他の人には理解できない感情なのかも知れない。けれど、未経験のことに遭遇し、実乃莉にはそれを恐れている気がした。
ようやく自分の中で折り合いを付けると実乃莉は頷いてみせた。
「確かに今の実乃莉にとっちゃ、褒められることさえ初めてだもんな。不安になる気持ちもわかる」
「龍さんでも?」
信じられないと驚く実乃莉に、龍は口角を上げそれに答えた。
「もちろん。俺はよく、そつなくなんでもこなして苦労もしてないと思われることが多い。だが、人並みに悩みもするし苦労もしてきた。今だって、社員を路頭に迷わせないよう必死だ。これでいいのか不安になることだってある。……意外だろ?」
最後は実乃莉の表情を見てそう言ったのだろう。実乃莉は胸の内を、ズバリと指摘されてしまう。
「……はい。でも龍さんも同じなんだって知って、気が楽になりました。これからは、もっと素直に喜びたいって……そう思います」
「そうだな。少なくとも俺の前では、もっと喜怒哀楽を出していいぞ。練習台として。その代わり、時々俺の弱音も聞いてくれ。周りには言えなくてな。深雪にすら言ったことないが……。実乃莉になら言えそうな気が……するんだ」
最後は視線を外し、自分にいい聞かせるようにゆっくりと龍は口にする。
(それは……特別、ってこと……?)
ただの勘違いと思うには意味深な内容に実乃莉は鼓動を高まらせる。けれどそれはただの話し相手としてだ。同じ政治家を親に持つ子ども同士だから。
そう思うがそれでも勘違いしてしまいそうになる。
龍は目の前で、恥ずかしそうに口元を手で押さえると、ほんのりと頰を朱に染めて顔を逸らしていた。