出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
「す……き……。なんですか……?」
実感など湧くはずもなく、実乃莉は唖然としたまま龍を見つめ唇を小さく動かした。
(龍さんが……私を……好き?)
何度言葉を反すうしてみても、にわかには信じられない。自分が誰かに好かれるとも思っていなかったし、ましてや自分が初めて好きになった相手に同じように好意を向けられるなんて想像すらしなかった。
息を呑んだまま未だ固まっている実乃莉を見て、龍は小さく笑みを漏らす。
「好きだよ。実乃莉といると不思議と癒される。頑張ってる姿を見てると俺も頑張んなきゃなって思う。会社の奴らと仲良くしてるのを嬉しく思う反面嫉妬もしてる」
穏やかな笑みを浮かべたまま、龍はそっと実乃莉の背中に手を添える。そして、ゆっくりと自分のほうに実乃莉を引き寄せるとその胸におさめた。
立ち上る龍の香りは、実乃莉の心を落ち着かせる。けれど、鼓動は落ち着くことなくスピードを早めていく。そしてそれは、自分が埋める胸の奥から聞こえる音とシンクロしているようだった。
しばらくの静寂のあと、また龍は話し出す。その振動が実乃莉の体に伝わった。
「一番驚いてるのは……自分にそんな感情があったのを知ったこと。実乃莉と出会わなかったら、一生知らないままだったかもな」
それは実乃莉も同じだった。龍と出会わなければ、自分は籠の中の鳥のまま、広い空を知ることもなく人生を閉じていたかも知れない。
けれど、実乃莉は知ってしまった。誰かに好きだと言われる喜びを。
「龍さん……」
実乃莉はおずおずと顔を上に向ける。龍はそんな実乃莉の顔を覗き込んだ。お互いの息遣いさえ聞こえそうな、そんな距離だ。
「……何?」
その声も、瞳も、どこまでも優しく実乃莉を包み込む。ずっとこうしていたい、と願ってしまうくらい。
「龍さんは……私に、嫌がることなくたくさんのことを教えてくれました。それでいいんだって背中も押してくれました。居心地良くて、安心できて……。そんな龍さんのことが……好きなんです」
実乃莉の告白に、龍はほんの少し驚いている。けれどすぐに目を細めると、実乃莉の背中に回した腕に力を込めた。
「やばいな……。すげぇ嬉しいわ……」
龍は実乃莉の頭に顔を寄せると、猫のように擦り寄り言った。
実感など湧くはずもなく、実乃莉は唖然としたまま龍を見つめ唇を小さく動かした。
(龍さんが……私を……好き?)
何度言葉を反すうしてみても、にわかには信じられない。自分が誰かに好かれるとも思っていなかったし、ましてや自分が初めて好きになった相手に同じように好意を向けられるなんて想像すらしなかった。
息を呑んだまま未だ固まっている実乃莉を見て、龍は小さく笑みを漏らす。
「好きだよ。実乃莉といると不思議と癒される。頑張ってる姿を見てると俺も頑張んなきゃなって思う。会社の奴らと仲良くしてるのを嬉しく思う反面嫉妬もしてる」
穏やかな笑みを浮かべたまま、龍はそっと実乃莉の背中に手を添える。そして、ゆっくりと自分のほうに実乃莉を引き寄せるとその胸におさめた。
立ち上る龍の香りは、実乃莉の心を落ち着かせる。けれど、鼓動は落ち着くことなくスピードを早めていく。そしてそれは、自分が埋める胸の奥から聞こえる音とシンクロしているようだった。
しばらくの静寂のあと、また龍は話し出す。その振動が実乃莉の体に伝わった。
「一番驚いてるのは……自分にそんな感情があったのを知ったこと。実乃莉と出会わなかったら、一生知らないままだったかもな」
それは実乃莉も同じだった。龍と出会わなければ、自分は籠の中の鳥のまま、広い空を知ることもなく人生を閉じていたかも知れない。
けれど、実乃莉は知ってしまった。誰かに好きだと言われる喜びを。
「龍さん……」
実乃莉はおずおずと顔を上に向ける。龍はそんな実乃莉の顔を覗き込んだ。お互いの息遣いさえ聞こえそうな、そんな距離だ。
「……何?」
その声も、瞳も、どこまでも優しく実乃莉を包み込む。ずっとこうしていたい、と願ってしまうくらい。
「龍さんは……私に、嫌がることなくたくさんのことを教えてくれました。それでいいんだって背中も押してくれました。居心地良くて、安心できて……。そんな龍さんのことが……好きなんです」
実乃莉の告白に、龍はほんの少し驚いている。けれどすぐに目を細めると、実乃莉の背中に回した腕に力を込めた。
「やばいな……。すげぇ嬉しいわ……」
龍は実乃莉の頭に顔を寄せると、猫のように擦り寄り言った。