愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 茂みから、二人の様子は見えない。
 聞こえてくる会話に耳を済ませ、ペリウィンクルはその時を待った。

「先ほどの鍛錬で、ボクの剣が腕を掠めただろう? 軟膏を塗ってやるから、出せ!」

 かわいげのない言葉だ。
 恥ずかしいのはわかるが、ニゲラに女性らしさをアピールできるものではない。

「はぁ? んなの、舐めとけば治る……」

 案の定、ニゲラは男友達へ接するように答えた。

「ボクが、作った軟膏なんだ……!」

「サントリナが? 意外だな」

「そうかな? ボクだって女だもの。おかしいことじゃないでしょう?」

「そ、そうか。そう、だよな。女、なんだよな」
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