愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 目から鱗が落ちた。
 もしくは、呪いが解けた。

 ニゲラの反応は、そんな表現がふさわしいものだった。
 サントリナ、と。彼女の名を呼ぶ声に、あたたかな色が混じり始める。

 ペリウィンクルはうまく行ったことにホッと胸を撫で下ろしながら、その場を離れた。
 鍛錬場の入り口に『只今整備中』の看板をかけるのも忘れない。

(ローズマリーお嬢様! そして、ヴィアベル! 私はやりましたよぉぉ!)

 嬉しそうにスキップするペリウィンクルの背後でキラリと光るものがあったが、ローズマリーに報告することで頭がいっぱいの彼女が気付くことはなかった。
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