愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 そうは言っても、人からしてみれば妖精魔法そのものが不思議な力なのである。
 庭師であるペリウィンクルが使うのはハーブであって、医者が処方する薬とは違う。
 含まれる成分の量も薬に比べて格段に少ないため、副作用などの心配がない代わりに、作用は穏やか。
 だというのに、付加魔法をかけたたった一杯のお茶で症状を和らげてしまうのは、やはり奇跡としか言いようがない。

 ヴィアベルの言い分だと、媚薬の効果を消すのは難しそうである。
 項垂れるペリウィンクルの頭を、ヴィアベルの大きな手がくしゃりと撫でた。

「媚薬の効果を消せないと言っているわけではない。だが、条件を揃える必要はあるだろう」

「条件って?」

「あの女が作った媚薬だが、あれで完成したとは思えない」

「どういうこと?」

「あの女には、ひだまりの妖精がいるだろう」
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