愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「おそらくだが……尻軽女はあの媚薬をトゥルシーにも使っているのではないか? ディルはトゥルシーの様子がおかしいと言っていたのだろう?」

「そうなんだよ。だからディル様は妖精王の茶会を手配してほしいって言ってきたわけで……ねぇ、ヴィアベル。あの媚薬って、どれくらい効果があるものなの? 妖精王の茶会で無効化できる?」

 ペリウィンクルの言葉に、ヴィアベルは難しい顔をした。
 言いにくそうに唸りながら顎を撫で、困ったようにペリウィンクルを見る。
 話を促すようにペリウィンクルがじっと見上げると、諦めたようにため息を吐いて、彼は言った。

「そもそも、妖精王の茶会に人が言うような不思議な力などないのだ。南のガゼボに妖精の力を強化する魔法がかけられてはいるが、特別な力なんてものは存在しない」

「そうなの⁉︎」

「ああ。不思議な力があるとか、男女で招待されたら恋人関係になるとか、いろいろ噂になっているようだがな。実際は招待した妖精が気まぐれに妖精魔法を使ったとか、そういうオチなのだ。シナモンの時だって、おまえが用意したセントジョンズワートの茶に付加魔法をかけて、鬱の症状を和らげただけに過ぎん。まぁ多少、雰囲気が良くなる魔法もかけておいたが……」
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