愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!

第4話 親離れを決意

 ヴィアベルが言う「なんとかしてやろう」ほど、あてにならないものはない。
 それはいつだって、「中央の国へおいで」と言っているようなものだから。

 両親を事故で喪い、引き取ってくれた祖父も寿命を全うして天へ召され、一人残されたペリウィンクル。
 天涯孤独の身の上である彼女をずっと見てきたからこそ、ヴィアベルは心配でたまらないのだろう。

 ペリウィンクルはヴィアベルが育ての親のような気持ちでいると思っているが、実のところはわからない。
 なにせ、妖精には家族が存在しない。
 家族を知らない妖精が、果たして親のような気持ちになるものなのか。甚だ、疑問である。

 本来、契約者を失った妖精は、新しい契約者を見つけるか、中央の国へ帰るのが普通だ。
 中には、契約者に執着するあまり契約者が眠る墓の墓守になってしまう妖精もいるそうだが、そんなのは稀である。

 つまり、祖父が亡くなった時点で、ヴィアベルはペリウィンクルの前からいなくなるはずだった。
 彼がそうしなかったのは、妖精の気まぐれか、はたまた生前の祖父が何かを対価にそのような願いをしていたのではないか、とペリウィンクルは思っている。
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