愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ローズマリーの声は震えていた。
 信じたいけれど信じられない。ローズマリーの顔にはそう書いてあるようだった。

 ローズマリーの目は、明らかに怯えを滲ませている。
 ペリウィンクルは悲しくなった。しかし、自分の筆跡ではないと証明できる証拠もない。

 だってペリウィンクルの目から見ても、その筆跡は自分のものとよく似ていた。
 そう、よく似ていたのだ。

(ああ、これは……ヴィアベルだわ)

 ペリウィンクルはこの文字を見たことがある。幼い頃から、何度も。
 似ているのは当然だ。だってヴィアベルが、ペリウィンクルに文字の書き方を教えたのだから。

「……私ではありません」

「でもあなたなら、妖精王の茶会を手配できるわ。現にディル様とトゥルシー様の時には、手配してくれたじゃない」

「そうですけど……でもそれは──」
< 258 / 322 >

この作品をシェア

pagetop