愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「どうすれば良いのだろうね」

 サントリナとしては、どうにかしてあげたいところだ。
 そもそも、ペリウィンクルが言うヴィアベルとは何者なのか。
 首を傾げて唸るサントリナに、ローズマリーがカップを差し出しながら言った。

「実はわたくし、ヴィアベルという方のことをトゥルシー様に聞いてみたのです。けれど……彼女も知らないそうですわ」

「トゥルシー様は、絶対記憶の持ち主ですよね? あらゆる事柄を記憶していると聞きましたわ」

「ええ。そんな彼女さえ知らないのですから、おそらくペリ本人しか知らないのでしょう」

 気落ちしたのか、小さなため息を吐いてローズマリーがソファへ腰を下ろす。
 そんな彼女へ角砂糖の瓶を寄せながら、サントリナは言った。

「そうか……もしかしたら、ヴィアベルという人は四季の国の人なのかもしれないね。こちらの国と四季の国では時差があるから……気持ちがすれ違うこともあるだろう」
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