愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「ペリウィンクル様。お願いですから、起きてください。はっ! も、もしや死んでいませんよね⁉︎」

 ふわふわした毛玉のようなものが、ペリウィンクルの胸に押し当てられる。
 首筋にあたる感触がこそばゆい。ペリウィンクルは思わず吹き出しそうになった。

「くすぐったい」

 払い除けようと、ペリウィンクルが体を起こす。

「わあぁ!」

 体に乗り上げていた生き物が、叫び声を上げながら転がり落ちる。
 彼女の前に、タンポポ色をした毛玉がコロリと転がった。

「おぅ、もふもふ……」

 大きさは、ペリウィンクルの両手に収まるくらいだろうか。
 毛玉は「いてて」と言いながら、背伸びをするように体を伸ばして、後ろ足で立った。

(かっ、かわいい〜〜!)
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