愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 蜂蜜色の目が、ペリウィンクルを見上げる。
 小さな鼻を忙しなくヒクヒクさせるその姿は、どう見てもウサギさんだ。

「ああ、良かった! このまま目覚めなかったらどうしようかと思っていたのです」

 ペリウィンクルは二足歩行の愛らしいウサギを前にして、プルプル震えた。
 彼女の悪い癖だ。かわいいものを前にすると、あらゆるネジが緩んでしまう。
 もしもヴィアベルがこの場にいたら、呆れていたに違いない。

「かわいいうさちゃん、どこから来たの?」

「む! かわいいうさちゃんではないのです。わたしの名前はスヴェート。ひだまりの妖精です」

「スヴェートって……リコリス様と契約している?」

「ええ、ええ、そう通り。わたしが契約しているのはリコリスです」

「えっと。そのスヴェートは、どうして私を起こしているのかな? それに、ここはどこ? 私、部屋で寝ていたはずなん、だけ、ど……」

 言いかけて、ペリウィンクルはピタリと止まった。
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