愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「久しぶり……だな? ローズマリー嬢」

 動揺を隠せない様子のソレルに、メイドに扮してローズマリーの後ろで控えていたペリウィンクルは、思わず吹き出しそうになった。

(久しぶりに会った婚約者が、出荷寸前のブタから愛らしい小動物に変貌を遂げている。一体、どういうことだ?……とまぁ、そんなところでしょうか)

 標準装備だと思っていた春の国の王族らしい花のような微笑みは、すっかり抜け落ちていた。
 そこにいるのはただの、ローズマリーやペリウィンクルと同じ年頃の青年である。
 スチルでは見ることのなかった等身大の彼に、ペリウィンクルはこんな顔もできるのかとひそかに感動した。

「殿下、どうかなさいましたか?」

 頰に手を当てて首を傾げるローズマリーに、ソレルは「ぐ」とらしくもなく息を詰まらせる。
 ソレルの態度に、ペリウィンクルはこっそりガッツポーズをした。

(ええ、ええ。そうでしょうとも。ローズマリーお嬢様はかわいいでしょう? たまらないでしょう?)
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