愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ダイエット作戦は大成功と言える。
 数カ月という短期間では成し得ない減量を可能にしたのは、ペリウィンクルにはやたら甘いヴィアベルによる、妖精魔法入りのハーブティーのおかげだ。
 ローズマリーのたゆまぬ努力とペリウィンクルの叱咤激励はもちろんのこと、魔法のハーブティーがなければ、ソレルが見惚れるほどの小動物系お嬢様にはなれなかった。せいぜいがところ、子ブタちゃんである。

(親離れするって決めたのにすっかり甘えちゃったけど……これからゆっくり準備していくから問題ない、よね?)

 ダイエットを決意したその日にケーキを食べてしまう人のような言い訳を並べつつ、ペリウィンクルは手早くお茶の準備を進めた。

「その……随分と印象が変わったんだね?」

「ええ、いろいろありまして」

 ローズマリーが困ったように笑うと、ソレルは胸を押さえた。
 彼女が言ったいろいろは、前世の記憶だとかペリウィンクルとの出会いを指しているのだが、ソレルは自分が蔑ろにしていたせいだと思ったようだ。
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