愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(私はランプの魔人でもなければ万能の神でもない。ほんの少し先の未来を知っていただけのただのモブ。だから、たくさんの人は幸せにできない)

 あまりに多くを望むことは、何も望まないのと同じだ。
 だからこそペリウィンクルは、せめて手が届く範囲が幸せになれるよう願い、行動しようと思っている。

 残念ながら、ソレルはその範囲には入らなかった。それだけだ。

 どこまでも愚かな王子様は、リコリスが名もなき生き物の事件に関与していることを知りながら、最後まで庇い続けた。
 そしてそれは、今も続いている。

(これがソレル殿下なりの愛、というものなのでしょうか)

 この気持ちが媚薬による偽物だと知ったとき、彼はどうするのだろう。

(知ったところで、手遅れか)
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