愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「女の子なのだから、帽子くらい被れ」

 そう言って、ヴィアベルは帽子をペリウィンクルに被せた。
 ついでとばかりに、帽子ごと頭を撫でられる。

(いつまで子供扱いするのかしら……もう)

 目深に被らされた麦わら帽子を斜めにしながら、ペリウィンクルは不満げにヴィアベルを見上げた。
 そんな彼女の白い肌に日焼け止めすら塗られていないと気づいたヴィアベルは、呆れたようにため息を吐く。

「日焼け止めも塗っていないのか」

 ペリウィンクルの無言の圧力に気づいているのか、それともあえて無視しているのか。
 ヴィアベルは構わず、指をくるりと回して妖精魔法で日焼け止めを塗ってやった。

「おまえは昔から肌が弱いのだから、気をつけねば駄目ではないか」

 彼の魔法はいつだって間違いなく完璧なのに、頰を触ってちゃんと塗れたか確認する始末である。
< 46 / 322 >

この作品をシェア

pagetop