愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(あぁ……なんて過保護なのかしら)

 ペリウィンクルは構われるのが好きなたちだから、心地良く感じてしまう。
 世話を焼かれるのは、もちろん嬉しい。だが、いつまでも子供扱いされるのはいただけない。

 とはいえ、もう何年もこの調子できてしまったから、全然これっぽっちも親離れできる気がしない。
 すると決めた以上、頑張るつもりではあるのだが。

「それで? 必要なのはパステルカラーのミニバラと大輪の白バラ……これだけで良かったのか?」

 差し出された苗を、ペリウィンクルは反射的に受け取った。
 どれもこれも、文句のつけようもない綺麗な苗ばかり。
 種や苗を選ぶことだって庭師の仕事だというのに、ヴィアベルは今日もペリウィンクルを甘やかしてくる。

(これじゃあ、ちっとも親離れできない! ここはガツンと親離れ宣言しないと駄目だわ!)

「ヴィアベル、話が──」

 決意に満ちた目で、ヴィアベルを睨むように見る。
 そうして開いた口から発した声は、彼から被せるように「ところで」と言われてしまい、最後まで言いきることができなかった。
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