聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


『…はい』


聞き覚えのある声。菜々は、泣きそうになるのを必死で堪えた。


「もしもし?矢嶋先輩ですか…?」


『…橋本ちゃん?なんで番号…』


「堀越先輩が教えてくれたんです。私が矢嶋先輩と連絡とりたいって言ったから。


『そうなの!?マジか。嬉しいよ。で、どうしたの?』


「先輩、大学合格したんですよね?おめでとうございます。」


『ありがとう!橋本ちゃんにそう言ってもらえると、マジで嬉しい。頑張った甲斐があったよ。』


――本当に嬉しそうな声。先輩を信じてもいいのかな…。


菜々は、スマホを持つ手に力を込めた。

< 296 / 305 >

この作品をシェア

pagetop