聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「ちょっと歩こうか」と矢嶋が言ったので、駅前にある大きな公園に向かった。
2人並んで公園の中の遊歩道を歩く。
3月に入ったが、まだ空気が冷たいからか、公園にいる人は少なかった。
沈黙したまま、菜々は矢嶋の背中を後ろから見つめた。
相変わらず頼もしい背中。
矢嶋が東京に行けば、もう見れなくなる背中。
――先輩と、離れたくない。
「…っ先輩!」
そう言うと、菜々は後ろから矢嶋に抱きついた。
「え!?ちょ…橋本ちゃん、どうしたの!?」
慌てる矢嶋の声。構わず菜々は言葉を続けた。