夜を照らす月影のように#8
僕は話すのを止めて、メルに視線を向ける。メルは、僕と目を合わせると微笑んだ。

「…………でも、限界だったんだ。好きなことをしてても、辛かったし苦しかった。理由までは、分からない……耐えられなくなって、僕は自殺した。気が付いたら、僕は魔法だらけの世界に転生してたんだ。そこで、僕はリオンと出会って……」

僕が話し終えると、周りは静かになる。その空気はやたら重くて、僕は逃げ出したくなった。それと同時に、リオンたちに嫌なことを言われるんじゃないか、という不安感が僕を襲う。

その時、ぎゅっとメルに抱き締められた。

「……ノワール、大丈夫だよ」

メルの温もりが、優しい声が、僕の中にある不安をかき消してくれる。

メルの優しさが、僕の言いたいことをいち早く察してくれるところが、僕は好きだ。

……そうか。僕は、メルのことが――

「大好きだよ」

声に出してしまったらしい。メルは「はぁ!?急に、何!?」と勢いよく僕から離れる。メルの顔は真っ赤で、視界に移るリオンはニヤニヤしていた。

「あ、いや……僕も、何で言ったのか分からない……忘れて!」

恥ずかしくなってメルから目を逸らしながら言うと、リオンと目が合ってリオンは呆れたような顔をする。

リオンは、何で呆れてるの!?
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