甘い罠、秘密にキス

私の知らない情報が、次から次へと入ってくる。しかもそれは、どれも信じられないようなものばかり。

ひとつひとつが濃厚過ぎて頭がパンクしそうになるけれど、皇さんの言葉を、頭の中で必死に整理していく。

“逃げた初恋の相手”“小さい頃から好き”
確か桜佑は、自分でも“一途”だって言ってたっけ。

そこでふと思い出したのは、初めて桜佑と身体を重ねた日に言われた“俺をあいつと一緒にすんじゃねえよ。こっちは何年も前からお前だけを見てんだよ”という言葉。

何年も前から…?


(てことは、やっぱり…)


パズルのピースがはまっていくみたいに、初恋の相手(・・・・・)が徐々に浮かび上がってくる。それと同時に、ドクンドクンと脈が速くなっていくのが分かる。


「まぁ俺も鬼じゃないから、その子の名前まではさすがに言えないけど」

「……」

「見た目も中身も、男前な子だっていうのはよく聞いてた」

「……あの男」


ぼんやりしていたものが、今ので確信に変わった。桜佑の初恋の相手は、きっと私だ。

でも何が男前だよ。それが好きな人に使う言葉?私がこの男キャラになったのは、桜佑のせいでもあるというのに。

ていうか、そもそもそこまで好かれていた記憶がない。むしろ嫌われていると錯覚してしまうくらいには、ひたすらいじめられていた。

だって普通、好きな子にオスゴリラなんて言わないでしょ。


「あと、誰よりも綺麗な子だって言ってたよ。勿論見た目もそうなんだけど、心が綺麗なんだって。純粋で思いやりがある子だから、周りからも好かれてるって…」

「…本当にそんなこと言ってました?」

「言ってた言ってた。あいつ酔ったら何でも喋るから。まぁでも、その子が人気者だから日向も気が気じゃなかっただろうなぁ」


皇さんの言葉を、どこまで信じていいのだろう。ここまで褒められると、やっぱり私のことじゃない気もしてくる。

…とにかく、めちゃくちゃくすぐったい。

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