甘い罠、秘密にキス
「桜佑…早く…っ」
顔だけ後ろに向けて急かすように懇願すると、桜佑は「今日のお前、まじでヤバいんだけど」と呟きながら、ドレスをそっと脱がせてくれた。
さすがに恥ずかしくなって隠れるようにベッドに逃げ込むと、ドレスをハンガーにかけ、自分のジャケットを脱いだ桜佑は、ネクタイを緩めながら近付いてきた。
その仕草が絶妙にエロくて、思わず息を呑む。
「綺麗だな」
私を組み敷いた桜佑は、いつもと違う私をまじまじと見つめながら、髪を優しく撫で、その手を頬に移動させる。
せっかく褒めてくれたけど、この行為が終わる頃には、髪は乱れ、メイクも崩れてしまうだろう。
「これ、つけてくれて嬉しい」
頬を撫でていた指手が、そっと耳たぶに触れた。そこにあるのは先ほど桜佑がくれたピアスで、桜佑はそのピアスを優しく指でなぞりながら「似合ってる」と、目を細める。
「桜佑も…」
「うん?」
「今日の桜佑、かっこよかった」
そっと手を伸ばし、ネクタイを付けていた場所を撫でた。すると桜佑が驚いた顔で私を見下ろしてくるから、その間抜けな顔に思わず笑ってしまった。
「今日はいつにも増して可愛いな。何かいい事でもあった?」
「…あるような、ないような、」
「なんだそれ」
ふっ、と吹き出すように笑った桜佑は「ごめん、伊織が可愛すぎて、もう余裕ない」と零す。そしてゆっくりと影を落とすと、私の唇を塞いだ。
いい事、あったよ。久しぶりに桜佑とこうして会えて、触れられて、自分の気持ちに気付けた。
藤さんの時にはこんな気持ちにならなかったけど、好きな人に触れられるって幸せなことなんだね。