甘い罠、秘密にキス
藤さんに拒絶された日から、ずっと抱えていたトラウマ。あの時の感覚は、一生忘れることはないと思っていた。
だけど桜佑が相手だと思うと、不思議と不安を感じない。むしろあの時のことを思い出す方が難しい。
桜佑になら全てを委ねられる。私の全てを包み込んでくれる桜佑が好きだ。
でも、もしも桜佑が昔のままだったら、きっとこんな気持ちにはならなかった。
もしかして桜佑も、私と離れている間、たくさん後悔して、成長したのかな。そしてそれを気付かせてくれたのは皇さんだ。今日、皇さんに会えて本当によかった。そうだ、これも“いい事”のひとつだね。
「伊織、もう既にめちゃくちゃ濡れてるんだけど」
ふわふわと熱に浮かされている間に、いつの間にか下着の隙間から侵入してきていた指先が、そこを優しく撫でる。桜佑の指先が、何の抵抗もなく滑るように移動するから、自分で触らなくてもそこがかなり潤っているのが分かった。
「そんなに俺としたかった?」
耳元で意地悪な言葉を囁きながら、ゆっくりと指を挿入させる桜佑。その指を少し動かしただけで、恥ずかしいくらいに水音が響く。
「…ぁっ、そこ…」
「うん、ここ気持ちいいよな。凄い締め付けてくる」
桜佑は私のいいところを知り尽くしているのか、身体が反応する場所をピンポイントで攻めてくる。
まだ始まって間もないし、桜佑の手の動きはゆっくりなのに、今日の私の身体はどこかおかしいんじゃないかってくらい反応してしまう。
そのせいか、じわじわと襲ってくる波に耐え切れず、あっという間に身体を震わせ達してしまった。
どうしよう。今までも充分気持ちよかったけど、今日が一番かも。ていうか、回を重ねるごとにどんどん感じている気がする。
怖いくらい、桜佑に溺れてく。