甘い罠、秘密にキス

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(全身筋肉痛…)


桜佑の体力って、底なしなんじゃないかと思う。昨日は私の身体が悲鳴を上げていて、一日中桜佑の部屋でゴロゴロして過ごしてしまったけれど。
そんな私とは反対に、桜佑は洗濯や料理をして常に動き回っていて、疲れを微塵も感じさせなかった。しかもこれまた手際がいいから感心してしまう。

昨日の夕方には桜佑の部屋を出て自宅に戻ったけれど、自分の部屋の何も置いていないキッチンを見て、桜佑を見習おうと思ったのはここだけの話。

仕事帰りにキッチングッズを買って、今日から料理の練習でもしてみようかな。本当はお料理教室に行きたいけど、桜佑が嫌だって言ったから、とりあえず自分で頑張ってみよう。


…そういえば、桜佑の姿が見えないな。いつも大体この時間には桜佑も会社に着いているはずなのに。もしかすると、直接クライアントのところへ出掛けたのかも。


「おはようございますイオ…佐倉さん！」


ふいに後ろから聞き覚えのある声が聞こえたと同時、ドーンと背中に衝撃を受け、ふらりとバランスを崩した。

なんとか踏ん張り、コケずに済んだけど、筋肉痛の身体には結構つらい。


「井上さん、おはようございます。あの、今度からもう少しソフトに接近してもらえると大変助かるのですが…」

「あ、すみません。佐倉さんを発見すると、どうも興奮して身体が勝手に突進してしまって…」


…井上さんて、前世闘牛なのかな。