S h o u t !‐叫べ‐



    ◇







「お母さん、お風呂あいたよ。

俺もう寝るから。」


「はいはい、おやすみ。」



自分の部屋で雑誌を読んでると

リビングの方から

そんな会話が聞こえて来た。



「優子。」


「お、え、え?」


かと思うと、さっきまで遠くで

喋っていた優輝がイキナリ

ヌッと部屋のドア出て来たから

少しびっくりした。


「…何言ってんの…。」


ダメだ。ビビり過ぎて

弟に怪しい目で見られた…



「寝るから。」



「あ、あぁ、うん。」


「おやすみ。」


「おやすみ。明日起こしてよ。」


「ヤダ。自分で起きろ。」


淡々と言った後、優輝は

スタスタと自分の部屋へ

戻って行った。



ムカつくけど、あぁやって

あたしとお母さんに毎日

"おやすみ"と"おはよう"を

言ってくれる。

そこらへんが、まぁ素直と言うか

素直じゃないと言うか…。

とりあえず家族を大切にしてくれてる。


お父さんが無くなってからは

言う回数も増えた。


前までは2日に1回言うか

と言うくらいだった。

家に1人しかいない男として

責任感が出来たのかな…




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