結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜
「ベル。例えばなんだけど、一級品の宝石になれなかった石やそのカケラとか、上質なんだけど生産過程で僅かに傷ものになってしまった生地が安価で輸入できたら、ベルならどうする?」
一通り撫でられて満足したらしいルキが、ベルにそう尋ねる。
「え? そんなのドレス作るの一択だけど!」
あえて"訳あり"と低コストにできる理由を出しつつ、下級貴族から裕福層向けラインで手が出しやすい価格設定の素敵なドレスを作って売るわとベルは楽しそうに語る。
「あ〜でも、シル様みたいな上流階級のお嬢様が着てくれたら個人的にはめちゃくちゃ好印象! 消費して経済を回すのも上流階級の方のお仕事でしょうけど、環境にも配慮してますよってアピールできるし」
その場合はキャッチコピーを変えて、希少性を出しつつとベルは楽しそうに戦略を妄想する。
「影響力のある人が着てくれたら真似たいご令嬢達が勝手にPRしてくれるわね! うん、いける!!」
とベルは笑う。
「生地が安価な分、ちょっと贅沢に使って仕上げられたら豪華なドレスにも見劣りしないでしょうね。あーいい。すっごい稼げそう!!」
キラキラした目で楽しそうに語るベルを見ながら、
「うん、俄然やる気出た」
ルキは静かにそう言ってポンポンっとベルの頭を撫で、チョコレートブラウンの髪を掬ってそこに軽く口付けた。
「ルキ?」
ベルはルキの行動に驚いたように目を丸くする。
「ベル、欲しいモノ1個なんでもくれる、って言った奴、今使っていい?」
「お義母様に契約婚約即バレしたのに?」
「約束通り俺からは言ってないから権利を主張したい」
確かに黙っていてくれたら欲しい物を調達してくる約束はした。そしてバレたのはルキのせいではない。
「いいけど、すぐに調達できるかは分からないよ」
それで何が必要? と聞いたベルに、手を伸ばしそっと頬に触れたルキは、
「ベルのこと抱きしめていい?」
と尋ねる。
「それは、モノじゃ……」
「ダメ?」
しゅんとしたルキを見ながら、ダメだ叱られた大型犬にしか見えないと口元を押さえて笑いを堪えたベルは、
「どうぞ」
と両手を広げる。了承が得られたルキはベルを抱きしめて、
「しばらく立て込むけど、シルの事よろしく。頑張ってくる」
とベルの耳元で囁いた。
ベルはルキに回した手で大きな背をポンポンと優しく叩きながら、
「ルキは十分頑張ってる。大丈夫」
と囁き返す。
ベルの言葉にありがとうと小さく言ったルキは静かにベルを解放すると、
「明日、出るの早くて言えないから先に言っとく。行ってきます」
アクアマリンの瞳を見ながら、見惚れるくらいキレイに笑ってそう言った。
真っ直ぐ自分に向けられるその濃紺の瞳には熱が籠っていて、ベルは自分の頬に熱が集まるのを感じる。
「行ってらっしゃい。健闘を祈る」
ベルは無意識に自分の耳を触りながらそう言って笑った。
一通り撫でられて満足したらしいルキが、ベルにそう尋ねる。
「え? そんなのドレス作るの一択だけど!」
あえて"訳あり"と低コストにできる理由を出しつつ、下級貴族から裕福層向けラインで手が出しやすい価格設定の素敵なドレスを作って売るわとベルは楽しそうに語る。
「あ〜でも、シル様みたいな上流階級のお嬢様が着てくれたら個人的にはめちゃくちゃ好印象! 消費して経済を回すのも上流階級の方のお仕事でしょうけど、環境にも配慮してますよってアピールできるし」
その場合はキャッチコピーを変えて、希少性を出しつつとベルは楽しそうに戦略を妄想する。
「影響力のある人が着てくれたら真似たいご令嬢達が勝手にPRしてくれるわね! うん、いける!!」
とベルは笑う。
「生地が安価な分、ちょっと贅沢に使って仕上げられたら豪華なドレスにも見劣りしないでしょうね。あーいい。すっごい稼げそう!!」
キラキラした目で楽しそうに語るベルを見ながら、
「うん、俄然やる気出た」
ルキは静かにそう言ってポンポンっとベルの頭を撫で、チョコレートブラウンの髪を掬ってそこに軽く口付けた。
「ルキ?」
ベルはルキの行動に驚いたように目を丸くする。
「ベル、欲しいモノ1個なんでもくれる、って言った奴、今使っていい?」
「お義母様に契約婚約即バレしたのに?」
「約束通り俺からは言ってないから権利を主張したい」
確かに黙っていてくれたら欲しい物を調達してくる約束はした。そしてバレたのはルキのせいではない。
「いいけど、すぐに調達できるかは分からないよ」
それで何が必要? と聞いたベルに、手を伸ばしそっと頬に触れたルキは、
「ベルのこと抱きしめていい?」
と尋ねる。
「それは、モノじゃ……」
「ダメ?」
しゅんとしたルキを見ながら、ダメだ叱られた大型犬にしか見えないと口元を押さえて笑いを堪えたベルは、
「どうぞ」
と両手を広げる。了承が得られたルキはベルを抱きしめて、
「しばらく立て込むけど、シルの事よろしく。頑張ってくる」
とベルの耳元で囁いた。
ベルはルキに回した手で大きな背をポンポンと優しく叩きながら、
「ルキは十分頑張ってる。大丈夫」
と囁き返す。
ベルの言葉にありがとうと小さく言ったルキは静かにベルを解放すると、
「明日、出るの早くて言えないから先に言っとく。行ってきます」
アクアマリンの瞳を見ながら、見惚れるくらいキレイに笑ってそう言った。
真っ直ぐ自分に向けられるその濃紺の瞳には熱が籠っていて、ベルは自分の頬に熱が集まるのを感じる。
「行ってらっしゃい。健闘を祈る」
ベルは無意識に自分の耳を触りながらそう言って笑った。