侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
 嫁いできて最初に宣言されたのが、干渉しあわないとか浮気オッケーだとか、そういう内容だった。

 世間知らずであったことにショックを受けた。しかし、それはそれでいいのかもしれない。

 すくなくとも、王宮にいる人たちのあらゆる悪意にさらされることはない。

 それに、正直なところ嫁ぐという行為自体、まだ心の準備が出来ていない。

 あんな大きな人とだなんて、どうにかなってしまいそう。

 彼を一目見た瞬間、その大きさといかつさに恐怖した。

 いずれにせよ、彼がどんな人でどんなことを思っていようと、一人でいることには慣れている。

 ダウリング侯爵邸で一人、のんびりすごせるかもしれない。

 そう前向きに捉えることにした。

 そうして、のんびりはしているけれど寂しい毎日が始まった。
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