侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます

政略結婚は白い結婚

「きみも気の毒なことだ。こんな強面のおっさんに嫁がされることになったのだから。まあ、おたがい意に添わぬ結婚というわけだ。そう認識していれば、構える必要もないだろう。おたがいに干渉せず、好きなようにすごすことにしよう。きみはまだ若くて美しいんだ。好きな男がいれば、こっそり付き合う分にはかまわない。一応、ダウリング侯爵夫人なのだから、世間体だけ注意してもらえばいい。そのかわり、おれも好きにさせてもらう。いいね?」

 ブラッドリー・ダウリング侯爵とは、最初からそんな感じだった。つまり、政略結婚だからおたがい割り切ろうということだった。

 彼は、わたしより二十歳年長である。そして、生粋の軍人で軍では将軍を務めている。彼は、強面なだけでなく超大型獣のように大きい。

 なにもかもがわたしとは正反対。

 わたしは、国王のお手つきの子。しかも、女の子ということもあって、王宮では散々な扱いを受けてきた。

 だから政略結婚だとはいえ、王宮から出て行けることがうれしくて二つ返事で嫁ぐことを了承した。
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