侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
 それなのに、ノーマンのときだけどうして不愛想になるのかしら? 違うわね。敵意むきだしにしているといった方がいいかもしれない。

 とにかく、不思議でならない。

 それでも、アールを連れて行かないという選択肢はない。だから、ぜったいに彼を連れて行った。だって、王立公園に行くのは、アールとすごす為だから。二人で散歩をしたり、走ったりすることが第一の目的だから。

 そう思ってはいるけれど、結局、彼を遠ざけてノーマンとすごしてしまう。

 ノーマンと会う回数を重ねるごとに、自分で自分がわからなくなってしまう。

 わたしはただ、走る距離を伸ばし、機嫌よく走り、故障しないようにしたいだけ。

 なにせ素人。せっかく親切なトレイナー兼マッサージ師に出会えたのだから、いろいろ教えてもらいたい。いつか自分一人でも実践出来るように、彼の言葉の一つ一つを噛みしめ、記憶していく。それが難しいときは、メモにとってでも把握する。
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