侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
 奥さんに先立たれたらしく、屋敷に住み込んで働いてくれている。

 そのブルーノの側で待つようアールに言いつけ、屋敷内に入って自分の部屋に羽織るものを取りに行った。

 ちょうど椅子の背にカーディガンをかけていたので、それを羽織って部屋を出た。

 すると、主寝室の扉が開いて侯爵が出てきた。

 おもいっきり目と目が合ってしまった。

 おたがいにハッとした表情になった。

 痛いほどの沈黙。

 どうするの、わたし?

 焦ってしまう。

 すると、意外にも侯爵が喋りかけてきた。というよりか、詰問してきた。
< 26 / 68 >

この作品をシェア

pagetop