侯爵閣下。私たちの白い結婚には妥協や歩み寄りはいっさいないのですね。それでしたら、あなた同様私も好きなようにさせていただきます
 それにしても、あまりにもひどすぎないかしら?

 いつも彼の強面には、不機嫌か怒っているかの表情が浮かんでいる。そんな表情を見ていると、一度きりの人生、もっと楽しまなくてはと思ってしまう。そんな表情では、面白いことやしあわせが逃げてしまうわよ、とも。

 とはいえ、それはわたし自身にもいえることだけど。

 というわけで、嫁いで一年は経ったけれど、彼とすごした時間はかぎりなく少ない。

 とはいえ、さすがに年齢差や強面や体の大きさには慣れた。しかも、彼はときおりギャップを感じさせる可愛い表情になったり行動をとったりする。

 最初は怖くて不安ばかりだったそんな彼も、いまでは頼もしかったり可愛く思えたりするから不思議である。
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