【コミカライズ配信】婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
岸くんの視線が左手にいくのがわかったので、手の甲を開いて見せた。
「そうなんだ…おめでとう」
「ありがとう。会社ではもう結婚してることにしてるんだけど、正式な入籍はまだで」
そもそも肝心の親にも話してないという始末なんですが。
「……驚いたよ。まさかその、天王寺と」
正直ちょっと気まずさみたいなものはある。
特に岸くんとは、別れた理由が皇輝と姉弟だったからだし。
あの時の私は皇輝のこと、弟としか見ていなかったから岸くんの気持ちが理解できなかった。
でも今ならわかる。
血が繋がってない他の男子と彼女が一つ屋根の下なんて、良い気分しないよね。
「私もまさかね。こんなことになるなんて思わなかったわー」
「……今、幸せ?」
「――うん、すごく幸せ」
もう終わったことだから、今更ほじくり返すつもりはない。
私はもう今を生きている。
そしてこれからの未来は、皇輝と一緒に歩んでいくんだ。
「……そっか。それならよかった」
「というわけなので、嫉妬深い旦那がいるからそろそろ帰るね。わざわざありがとう」
「こちらこそ。あのさ」
「ん?」
「コンペ、負けないよ――天王寺さん」
「……!」
岸くんに天王寺と呼ばれたのは、これが初めてだった。
「こちらこそ!どっちが勝っても恨みっこなしね!」