フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「だからもう観念して、今みたいに俺に弱音でも何でも吐き出せばいい。そうしたら目一杯甘やかして慰めてやる」
鼓膜を擽るようにして、囁かれた甘やかなバリトンボイスが密着した互いの身体を通して伝わってくる。
奏の優しさが伝わってくるようで、穂乃香はこの上ない安堵感を覚えてしまった。
――これも、一夜を共にしたせいなのかな? それとも……。
何度か自覚しかけたものの余裕がなく薄れてしまっていた疑問が再浮上してくる。同時に元婚約者の言葉までもが蘇ってくる。
『けど穂乃香にも責任があると思うんだ。俺は穂乃香に頼ってもらえない事に、愛されてないじゃないかっていつも不安だったし、寂しかった。それが積もりに積もった結果だと思ってる』
途端に穂乃香は怖くなってしまう。なぜならーー
幼い頃に父を亡くし母子家庭で育った穂乃香は、子どもの時分から母親に極力手間をかけないようにしてきた。
そのせいか、誰かに弱音を晒すのも頼るのも苦手だ。
もしもこの気持ちを認めてしまったとして、そんな自分を受け入れてもらえるとも思えないし、奏の気持ちがこの先もずっと変わらないという保証もないのだ。
――自分の気持ちに気づいたからって、そう簡単に認められるわけがない。