フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
これまで頑なだった穂乃香の口から飛び出してきた思いがけない本音に、奏はあたかも鳩が豆鉄砲でも喰らったかのように瞠目したまま石化してしまっている。
柳本の指摘によりうじうじと思い悩んでいたせいで、ついうっかり本音を吐露してしまった穂乃香は、奏の反応にハッとする。
自分の犯した失態に気づいた穂乃香が否定しようと口を開きかけた。そこに自身に言い聞かせるようにして独り言ちる、奏の呟き声が投下された。
「それは……つまり、まんざらでもないってことだよな」
――このままでは勘違いされてしまう。
別に勘違いでもないのだが、なかったことにしようと穂乃香は大慌てで言い募る。
「あっ、や……ち、違います。今のはなしです。忘れてくださいっ!」
だがここぞとばかりに俺様仕様の魅惑のバリトンボイスで瞬時に一蹴されてしまう。
「嫌だ。やっと穂乃香が本音を曝け出してくれたんだ。絶対に忘れたりしない」
その声音には、少しの傲慢さと揺るぎない意志とが籠められている。それらが絶妙なバランスで作用して、心にじんわりと染みわたってゆく。
うっかり聞き入ってしまっていた穂乃香の手からトレイが離れていく感触を覚えたときには、奏の逞しい胸へと抱き寄せられていた。そうしてそこに。