フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

「けど、酒に酔ってあの男の名前を泣きながら口にする穂乃香を見ていたら、つけいるような真似はできなかった。素面に戻った穂乃香を傷つけてしまいそうで怖くなったんだ。目が覚めた時、穂乃香の姿がないことに気づいた時には、猛烈に後悔したよ。酔いが覚めたら穂乃香に交際を申し込むつもりでいたからな。この歳になって初めて、誰かを好きになるってことが理屈じゃないんだって思い知らされたよ」

 ――こんなにも私のことを好きでいてくれていたんだ。

 最後に照れくさそうに自嘲じみた声音を切なげに響かせた奏からの独白に、穂乃香の胸は最大限に揺さぶられジーンとしてしまっていた。

 そこに、ネタばらしをしてきた奏の言葉によって、穂乃香の心情などすべてお見通しだったことが窺える。

「穂乃香の覚悟が決まるまで待つつもりだったのに、俺もまだまだだな。けど、穂乃香と再会できて、ようやく受け入れてくれたんだ。どんなに卑怯だと言われようが穂乃香の心を手に入れるためなら手段なんて選ばない。それだけ俺が穂乃香に惚れてるってこと、しっかり自覚しておくように」

 おそらく元彼の身代わりにしてしまったと嘆く穂乃香の心を少しでも軽くしようとしてくれたに違いない。

< 127 / 254 >

この作品をシェア

pagetop