フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
奏の穂乃香を思いやる優しさと、穂乃香のことを何としてでも振り向かせたいという熱烈な想いと、打算までもがチラチラと見え隠れする。
そうまでして穂乃香の心を手に入れようとしてくれているのだと思うと、この上ないほどに歓喜している自分がいて、呆れにも似た感情が湧き上がってくる。
けれどもそれ以上に奏の優しさが穂乃香の心にじわじわと染み渡ってゆく。
――包み隠さず何もかもを曝け出してくれるこの人のことなら、信じられる気がする。まだ信じ切る覚悟は持てないけれど、そうなりたい。
これまで頑なだった穂乃香の心にそんな想いが芽生えていた。
そこに飄々とした奏のバリトンボイスが奏でられ、穂乃香が意識を向けると、期待に満ちた奏の端正な相貌が輝いていて、たちまち穂乃香は魅入られてしまう。
「で、どうなんだ? 呼ぶ気になってくれたのか?」
「……へ?」
間の抜けた声をあげた穂乃香に、奏は意地の悪い笑みを深めてゆく。
嫌な予感を覚える穂乃香とは裏腹に、身体は期待するかのようにゾクゾクと粟立ちはじめる。