フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
試用期間が満了してから入籍を終えるまでのこの一ヶ月の間、そんな穂乃香の懸念をよそに、多忙な奏の仕事の合間を縫って結婚に向けての準備を着々と進めてきた。
その結果、一番の気がかりだった奏のご両親と祖父母へのご挨拶も済ませたし、穂乃香の弟と叔母への挨拶も完了している。
奏のご両親の歓迎ぶりと喜びぶりには、若干引いてしまった穂乃香だったが、ただ一点だけ気になる事柄を除いては、ドラマなんかでよく見かける、家柄云々で一人息子の嫁に相応しくないと反対されることもなく、呆気なく結婚のお許しをもらえたため、肩透かしを食らったほどだ。
樹と叔母への挨拶の際には、二人を騙しているという罪悪感に苛まれ複雑な心境だったが……。
「バカが付くほど生真面目で頑固だし、面白みに欠けるふつつかな姉ですが、自分にとってはかけがえのない大切な家族です。どうか幸せにしてやってください」
などと、少々聞き捨てならない台詞はあれど、義兄になる奏に対して、一丁前に大人な発言をした樹には、危うく泣かされてしまうところだった。
樹に対して奏は、真剣な表情で「もちろんです。穂乃香さんを一生かけて幸せにしてみせます。それが私にとっても一番の幸せなので」力強く宣言してくれていた。
思わず胸をキュンとときめかせてしまっていたのは内緒だ。