フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
それは奏にしても同じだったようである。
うんざりといった風情で父親を車の後部座席へと押し込めるようにして、バタンとドアを閉めると運転手に目配せし、早々に車を発進させていたほどだ。
奏は真剣に取り合わず軽くあしらっていたが、二人の様子に落差があればあるほど、どれだけ重要なルールであるかを思い知らされた。
確か奏の経歴には、誕生日は四月だと記されていたように思う。
そのルールの期限まで二年もない。
――これまで何度か、好きだ、愛している、などと言ってくれてはいるが、それもこれもすべては後継者をもうけるためなのでは……。
転職初日、奏との思いがけない再会の際、聞かされていたもののすっかり失念していた穂乃香は、不意打ちで現実を突きつけられてしまい、頭から冷や水でも浴びせられたような心地だった。