フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

 それからまた時間が流れ、何度も脱ぎ着を繰り返しているせいで、もはやこれが何着目かも定かではない。

 疲れの色が濃くなってきた頃、奏の明るい声音が耳に流れ込んできた。

「あのドレス、いいんじゃないか? 色白の穂乃香によく似合いそうだ」

 その落ち着いた心地の良いバリトンボイスに導かれるように視線を彷徨わせた先には、一点物のドレスが上品な輝きを放っている様が見て取れる。

 店長に勧められるままに試着していたドレスは、どれもこれも煌びやかなものばかりで、穂乃香は気後れし通しだった。

 けれどそのドレスは、これまで試着した華美なものとは違い、色味もデザインも落ち着いているが、だからといって他のものにも引けを取らない、上品でシックなとても素敵なドレスだ。

 穂乃香は一瞬で目を奪われてしまう。

「わぁ、凄く素敵ですね」

 計らず穂乃香の口からは感嘆の声が零れていた。

 数分後。数人のスタッフによってメイクを施された穂乃香は、落ち着いた色味のダスティーカラーが目を引く、華やかな刺繍が印象的な立体感のあるレース素材のボレロと、同系色のマーメイドラインがお洒落で洗練されたキャミソールのロングドレスを合わせた、何ともエレガントな装いに身を包んでいる。
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