フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
奏と再会してからというもの、奏は一貫して、こんなにも揺るぎなく真っ直ぐに思いの丈をぶつけてくれている。
これまでの人生においても、これほどまでに情熱的に誰かに求められたことなど一度もない。
それなのに穂乃香は、自身の想いに気づいていながら、奏の想いを受け入れる覚悟がどうしても持てず、あの夜、奏の優しさに縋ってしまった。
それは、元婚約者に裏切られたことで、思春期の体験から嫌悪感を抱いていた男性に対する不信感に拍車がかかったせいだ。そう思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。
武装することで自分を奮い立たせるのと同じで、殻に閉じこもることで臆病な自分を覆い隠し、見て見ぬ振りを決め込んでいた。
もっともらしい理由をつけて、結局は、自分が傷つかないようにするための予防線を張っていたのだ。
――長年閉じこもっていた殻をかなぐり捨てて、この人のためにすべてを捧げたい。
そう思えたのも他の誰でもない奏だからこそだ。
奏に縋ったあの夜、奏が『この歳になって初めて、誰かを好きになるってことが理屈じゃないんだって思い知らされたよ』そう口にした言葉が蘇ってくる。
そこに、柳本の言葉までもが蘇ってくるのだった。