フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
――ど、どういうこと? 何もかも全部がウソだったってこと? もしかして、本当に後継者をもうけるためだったってことなの? そのために叔母まで巻き込んでたっていうの?
混乱を極めた穂乃香の頭の中には、もくもくと仄暗い暗雲が立ちこめ、あたかもとぐろのように、ぐるぐると良くない考えばかりが渦巻き始める。
ただただ茫然と差し出された通帳を見つめることしかできずにいる穂乃香に、沈痛な面持の奏は頭を深々と下げて謝罪すると、今度は切実な表情で穂乃香への想いにウソはなかったときっぱりと言い放つ。
「だまし討ちのようなことをして、本当に申し訳ないと思っている。でも、これだけは断言できる。穂乃香への気持ちに嘘偽りはない」
とてもウソをついているようには見えない。
これまでも、奏は穂乃香の気持ちを何よりも尊重してくれていた。そんな奏が訳もなくウソをつくはずがない。
――何か理由があったに違いない。
奏の様子から冷静さを取り戻すに至った穂乃香は、揺るぎない声を放った。今度こそ奏と向き合うためにーー
「奏さんのことを信じます。だから、理由を聞かせてください」