フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
すぐに奏からなんらかのアクションがあるものだと思っていた。だが待てど暮らせどなんの反応も返っちゃこない。
奏は心ここにあらずといった様子でぼんやりと穂乃香のことを見つめたままでいる。
ほんの数秒間がやけに長く感じられる。
穂乃香は、自分の想いがちゃんと伝わったのかと不安になってくる。
「あの、奏さん?」
恐る恐ると言った様子で問い掛けた穂乃香の声に、ようやく奏がハッとし口を開いた。
「あっ、ああ、悪い。人は心から嬉しいと、本当に言葉なんて出てこないものなんだな。こんなことは初めてだよ。いや、穂乃香に出会った瞬間から、何もかもが違って見えた。俺にとって穂乃香は初恋の相手なのかもしれないな」
その言葉に穂乃香の胸はキュンとし、じーんと熱くなる。胸の奥がむず痒いような、くすぐったいような、なんだか懐かしい感覚を覚えた。
「だから本当に嬉しいよ。ありがとう、穂乃香」
「私もとっても嬉しいです。これからもよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ。なんだか照れるな」
それはどうやら穂乃香だけでなく、奏も同じだったようだ。奏は照れくさそうに呟くと、はにかむような笑みを零した。