フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

 その後。名実ともに本物の夫となった奏のエスコートにより屋上デッキへと場所を移した。

 そこにはイルミネーションの鮮やかな灯りが描きだす幻想的な光景が広がっている。穂乃香は思わず感嘆の声を漏らしていた。

「わぁ! 綺麗!」

 するとすぐ隣にいた奏が背後から腰を浚うようにぐっと引き寄せ、耳元に甘く囁きかけてくる。

「穂乃香のほうがもっと綺麗だ。誰の目にも触れさせたくない。もうずっとこうして俺だけの腕に囲っておきたいくらいだよ」

 お腹に腕を回して密着しているせいで、触れあっている身体を通して微かな振動までもが伝わってくる。途端に胸は熱くなり高鳴ってゆく。

 耳朶を奏の熱い呼気が掠めただけで、全身にまで熱が及びゾクゾクと慄いてしまう。

 奏の独占欲を思わせる言動に、身体全体が歓喜に満ちあふれているのだ。

 見目に優れた奏だからこそ許される歯が浮くようなキザな台詞だ。いつもの穂乃香なら、どう反応すればいいか返答に困っていただろう。

 けれども奏が口にしていたように、二人にとって今夜は特別な夜となった。

 おそらく二人にとって生涯忘れることのできない記念すべき日となるに違いない。

 そんな特別感が穂乃香をそうさせたのかもしれない。相手が他の誰でもない奏だからこそだ。
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